設計した基板が小さい時、複数の基板を並べて大きい基板として発注することがあります。これを面付けといいます。 このページでは、同種面付け(同じ基板のみで構成)について説明します。基本的には異種面付け(異なる基板で構成)でも同じ手順で行うことができます。
KiCadにはキャンバスが3種類用意されていますが、キャンバスごとに使える機能が異なります。このページではキャンバスをOpenGL(3D)に設定してあるものとして解説します。 キャンバスをOpenGLに設定するには、メニューバーから「表示(V)」を選択し、更に「描画キャンバスを OpenGL(3D) に切替(G) F11」を選択することで可能です。また「F11」キーを押すことでも切替が可能です。
この横に長い基板を2枚面付けする手順を示します。面付けの作業は、Pcbnew(プリント基板エディタ)をスタンドアロンモード(プロジェクトを開いていない、単独で起動している状態)で実行している必要があります。 普通に基板を編集している場合はスタンドアロンモードではないと思うので、プロジェクトは閉じてしまいましょう。
Pcbnewをスタンドアロンモードで起動するためには、Kicadのランチャーからではなく、直接Pcbnewを起動すれば大丈夫です。 KiCadのインストールの通りにインストールされていれば、Pcbnewは「C:\Program Files\KiCad\bin」に存在するはずです。 Pcbnewのパスは「C:\Program Files\KiCad\bin\pcbnew.exe」ということですね。
Pcbnewの場所について説明しましたが、「pcbnew」とプログラムを検索してしまったほうが楽でしょう。
全てのプログラムの中の「KiCad」フォルダにもpcbnewは存在するので、ここから起動してもよいでしょう。
Pcbnewをスタンドアロンモードで起動すると、画像のように何もないまっさらな状態になります。
ここに、さっきのボードを追加しましょう。メニューバーから「ファイル(F)」を選択し、更に「ボードの追加」を選択することで、ボードの追加が行なえます。
さっきのボードを選択すると、基板のデータが現れ、選択中になります。適当なところでクリックすると、その場所に配置することができます。
このとき、元のデータと色が違うのはデータ全体が選択中だからです。何もないところをクリックすると、元の色に戻ります。
異種面付けのときには、回転が必要になるかもしれません。回転は、基板全体を選択して「R」キーを押すと回転できます。
同様にもう1枚追加します。
2枚を並べるということは、画像の「ここ」の線と「ここ」の線を一致させることと同じですね。
2本の線のプロパティを見て、座標をメモしておきます。
左側の線の、上側の端の座標は(174.883855, 102.084859)だとわかります。また、右側の線の、上側の端の座標は(177.829786, 81.828088)だとわかります。よって、差は(-2.945931, 20.256771)と計算できます。 2枚ある基板のうち片方を選択して右クリックすると、「距離を指定して移動」という機能が使えます。ここに先程計算した(-2.945931, 20.256771)を入力すると、2枚の基板が並びます。
2枚の間にある基板外形レイヤの線が完全に重なりましたが、まだ不完全です。重なった外形レイヤの線を2本とも削除して、適宜カット用のシルクを入力して完成です。
注:面付けした後に編集をすると、基板のデータが変わってしまうことが有ります(主に塗りつぶし)。面付けは最後に行いましょう。